ながさわ鍼灸治療院

☆　三陰交施灸の歴史

 

わが国では既に紀元前より、はり灸による健康法・治療法が仁術として行われておりますが、医学古典にも三陰交穴の婦人病や男女生殖器疾患に極めて著効あることが明記されております。

かつて、代田文誌先生は安産の灸として三陰交への施灸を主張され、胎児の位置異常に対しては至陰穴と共に用いて著効があると実例を挙げて強調しておられました。また、東洋鍼灸専門学校四代目校長でもある石野信安医博も産婦人科という立場から婦人の三陰交への施灸は安産であるばかりでなく、胎児の体質改善にも大きく役立つと豊富な実例を挙げてその著明な効果を力説しておられます。

 

☆　安産のお灸の効果

 

安産施灸を実行していると、本格的に陣痛が始まってから初産でも早いものは４０～５０分、よほど長くても2時間以内に娩出終了、しかもほんの少し２～３回顔をしかめる程度で済んでおります。その上、出産児は極めて丈夫で臍帯がおとなの小指ほどの太さで、體重も２７００～３２００グラム止まり、髪の毛は黒々としていかにも丈夫そうな赤ん坊でありますから、小さく産んで大きく育つといった理想であります。また、子癇、早期破水、弛緩性出血などの難産を避けることができ、出血も少なく会陰切開の必要がないので産後の肥立ちは上々であります。そればかりでなく、胎児のおかれている子宮内の条件、すなわち羊水の成分が理想的に経過しますから胎児が異常に動いて位置を変えることがありませんから、臍帯を首に巻いて斜頚や先天性脳性麻痺、あるいは股関節脱臼などになることがありません。その上、両親の優性点のみ伝わるというのでありますから、良いことずくめで全く理想この上ない胎教による安産法であります。

 

三陰交施灸による安産法が一般に普及し、すべての妊婦が三陰交に施灸するという民族的習慣が停着するならば、妊婦をして「産みの苦しみ」より救い得るのはもちろん、奇経児や虚弱児の出産をも防止できますから、人類文化の向上に大きく役立つなどその公益は実に測り知れないものがあります。特に妊娠中毒（つわりなど）を緩和する方法としては極めて優秀であります。

＜元東洋はり医学会会長　福島弘道先生の著書より抜粋＞

 

 

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