ながさわ鍼灸治療院

食欲不振は西洋医学的にも、東洋医学的にも危険な状態・・・

 

食欲不振の多くの場合、精神的、肉体的、消化器自体の失調や、それらが複合的に影響して起こる病態です。そしてこれらの要因は東洋医学でいう、気血津液の生成不足や、“後天の元気（生まれた後に補っているもの）“によって補充されるべき“先天の元気（両親からもらう生まれる前から持つもの）にも影響を及ぼします。さらに、元気の不足、精神の不安定にもつながるという危険な病態の一つなのです。

 

＜西洋医学的な食欲異常＞

（１）   精神性食欲不振症

標準体重の－２０％以上のやせが、ある時期にはじまり３ヶ月以上続く。

ＢＭＩは１７．５ｋｇ/ｍｍ以下。

[ＢＭＩ　→　体重÷（身長×身長）]

食行動の異常は、単に食べたいだけでなく、経過中には逆に過食、大食あるいは隠れ食いをすることもある。また痩せるために過度に運動をしたり、下剤を乱用したり、自己誘発性嘔吐がみられることがある。

家庭、学校、職場、友人などの人間関係での悩みや、自己実現、独立と依存の葛藤などの発達上の課題に対する戸惑いから発症するケースが多いといわれている。

心裡状態としては、極端なやせ願望、肥満恐怖症やボディーイメージの歪みがみられるが、自分では病的だと思っていないので病識に欠けることがある。例えばひどくやせていても「まだ太っている」と考えてしまったり、腹部や足など身体のある部分がひどく太っていると思い込んでしまうケースがある。

過度の食事制限は、極端な体重減少のほかに、浮腫、貧血、低血糖、不整脈が著しい場合は、肝障害、腎不全、心不全、意識障害をきたす場合があるので注意しなければならない。

 

（２）   糖尿病

糖尿病とは、インスリンの作用が低下したため、体内に取り入れられた栄養素がうまく利用されずに、血液中のブドウ糖が多くなっている状態。症状としては、口や咽が渇く、飲み物を多く取る、尿が多く出る、体重減少、全身倦怠感などが現れる。

 

糖尿病の分類・・・

①     １型糖尿病（インスリン依存型糖尿病）

膵臓のβ細胞が破壊され、身体の中のインスリンの量が絶対的に足りなくなっておこる。子供のうちに始まることが多く、以前は小児糖尿病とか、インスリン依存型糖尿病とよばれていた。

②     ２型糖尿病（インスリン非依存型糖尿病）

インスリンの出る量が少なくなって起こるものと、肝臓や筋肉などの細胞がインスリン作用をあまり感じなくなる（インスリンの働きが悪い）ために、ブドウ糖がうまく取り入れられなくなって起こるものがある。食事や運動などの生活習慣が関係している場合が多い。わが国の９５％以上はこのタイプといわれている。

③     遺伝子の異常やほかの病気が原因となるもの

遺伝子の異常や肝臓や膵臓の病気、感染症、免疫の異常などのほか病気が原因となって糖尿病が引き起こされるもの。薬剤が原因となるものもある。

 

糖尿病の３大合併症・・・

①     糖尿病神経障害

合併症の中で最も早く出現する。手足の末梢神経障害の症状の出かたはさまざまで、手足の痺れ、けがやヤケドの痛みに気づかないなど。その他筋肉の萎縮、筋力の低下や胃腸の不調、立ちくらみ、発汗異常などさまざまな自律神経障害の症状も現れる。

②     糖尿病網膜症

目の底にある網膜という部分の血管が悪くなり、視力が弱まる。（失明する場合もある）また、白内障になる人も多いといわれている。

③     糖尿病腎症

尿を作る腎臓の、糸球体部分の毛細血管が悪くなり、徐々に尿が作れなくなる。その後人工透析によって、血液の不要な成分をろ過して、透析機で尿をつくらなければならなくなる。一般的に週に２～３回、病院などで透析を受けるようになるので、日常生活に大きな影響を及ぼす。

 

 

＜東洋医学と食欲不振＞

ひと言で、「食欲がない」というが、その内容は本来かなり複雑なものです。空腹感がない、食べられない、食べたくない、食べると不快感が生じる、食べても味がしない、何を食べてもあまり美味しくない、食べても消化が悪い、腹はすかないが食べられるなどさまざまです。鍼灸治療では、そのような細かい状態を問い、それぞれの病態に対して治療をします。

 

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